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相談支援事業のご紹介『地域における相談支援』

基本相談支援業務を通じて、地域における相談の傾向性を見極めていくことがソーシャルアクションにとって重要です。 具体的には、障害種別で目立ってきているのは身体障害か、知的障害か、精神障害か、その他 か、相談の内容で目立ってきているのはどのような事例か、高齢の要介護者も含め、家族の多く が何らかの支援を必要としている困難家庭の事例か、児童に関して虐待や不登校等の児童相談所 とも連携が必要な事例か、親族に主たる支援者がいない孤立した障害者の事例か、日々の相談支援業務において、相談の傾向性をつかんでいくことが重要です。

このプロセスにおいて、例えば、「発達障害、あるいはグレーゾーンの子どもの相談や登録が急増している」「不登校や引きこもりの相談の中に、発達障害からくる社会性の苦手さから起因する相談が増えている」「学校や保育園の関係者から、発達障害の事例についての問い合わせや相談、 アウトリーチの要請が増えている」というように、「発達障害」に関わる相談の増加傾向を認識した場合、相談支援専門員には、「発達障害」の課題を関係機関それぞれの個別の課題に留めておく のではなく、関係機関を超えた地域全体の課題として認識を共有化させていくアクションが求め られます。

その際には、相談支援専門員には、アクションを実効的なものにするための地域アセスメント の力が求められます。具体的には、課題認識の共有がまだ一部の関係機関に留まっているのか、 新聞報道等でも特集が組まれるほどに関心が寄せられ、地域の住民にも課題が共有されているの か、また、市町村議会で議案が提出されていたり、市町村の首長レベルにも課題が理解されているのか、的確なアセスメントが求められるのです。

また、そのアセスメントに基づいて、自立支援協議会の部会の主たるテーマとして「発達障害」 を提案していく必要があるのか、課題として認識し始めた関係機関のキーパーソンに集まっても らい実行委員会を組織してフォーラムやシンポジウムを計画することが有効なのかなどを見極め、 具体的なアクションを起こすことが求められています。

このような取り組みは、精神障害高次脳機能障害、医療的ケアの必要な重症心身障害等の領域においても、地域での課題の共有化の熟度をみながら、時機をとらえて行うことが期待されます。

一方、計画相談支援業務の中で、日々開催されている個別支援会議からも、地域課題のヒント が数多く顕在化してきます。関係機関が集まって話し合われる個別支援会議において、関係機関の連携と協力によって、課題が解決することもあれば、宿題として残される場合もあります。その際、当事者から寄せられた課題を、関係機関が同じ場で課題として共有化できることが、個別 支援会議の果たす役割ともいえます。

たとえば、Aさん、Bさん、Cさんのいずれの個別支援会議からも、「地域の公共交通機関の脆弱さから、移送サービスの資源が不足している」という状況が明らかになってきた場合、個別支援会議に参加している関係機関の実務者は、この課題を、Aさん、Bさん、Cさんをそれぞれ支援することで済ませてしまうのではなく、同じような状況にある多くの当事者の課題として共有化する必要性を感じ、この課題を、いかにして機関の実務者レベルから、管理者レベルまで、さ らには、地域の住民レベルまで広く共有していくか、地域アセスメントに基づいたアクションが求められます。

とりわけ、相談支援専門員には、こうした課題を関係機関が地域として解決すべき課題として提案し、その解決に向けて、自立支援協議会での課題プロジェクトの設置、要綱改正、制度のスクラップアンドビルド、新たなサービスや資源づくりに向けての具体的な取り組みが求められます。 先ほど取り上げた移送サービスの資源不足を例にとれば、自立支援協議会に移送サービス検討 プロジェクトを設けたり、地域の福祉有償運送協議会に要綱改正の働きかけをしたり、障害福祉サービス事業所や介護保険のデイサービス事業所等の送迎車の有効活用が図れないか検討したり、 市町村で取り組まれているデマンド交通も含めた、地域公共交通のあり方を話し合うフォーラム等を企画したりといった、実効性ある取り組みが求められます。

同様に、医療的ケアの必要な重症心身障害者に対する身近なショートステイの資源不足、障害者のアパート等を含めた生活の場の不足、精神障害者に対する訪問看護サービスの資源不足等、 個別支援会議を通じて、関係機関が「何とかしなくては」と強く共有化した課題について時機をとらえたソーシャルアクションが必要となります。

このように一人の生活困難を伴う援助には多くの人の力と知恵が必要になる。アウトリーチ含めたソーシャルワークとは個人の持つ資源と、社会の持つ資源とのすり合わせが重要な任務になってくる。

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